工場見学体験記~本田技研工業株式会社熊本製作所(大津町)
[2011-08-29]
当協議会企業会員の本田技研工業株式会社熊本製作所を訪問いたしました。
こちらでは、二輪車、汎用エンジンなどを量産。エンジンや各部品の生産加工から、完成車組立まで、一貫して行われています。
また広大な工場の周囲は木々で囲まれ、緑豊かな落ち着いた事業所です。
今回は二輪車のエンジン組立と車体組立ラインを見学させていただきました。
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すっきり作業しやすいエンジン組立ライン
こちらで生産されるエンジンは、カブやフォルツアなどの小型用ラインとVFR1200などの大型用ライン、そしてエンジン単体を海外へ送るノックダウン生産用ラインの3本のラインで生産されています。
エンジンは二輪の心臓部で部品も多く、人が作業するには重く大変というイメージを持っていました。
実際にエンジン組立ラインに足を踏み入れると・・・すっきりとした作業空間に整然としたラインが。
従来は壁側を向いてのコンベア型だったそうですが、1周150mの楕円形のラインに沿って外向きに立った30名の前を自走式の作業台が流れます。
その作業台はその人の作業しやすい高さに自動で上下し、エンジンを左右から360度回転できるアームで支え、手前・向こう側ともに作業しやすくなっていました。品質管理の真髄はここにあり①
二輪車のエンジンは部品が多くとても精密です。
そのため各作業スペースには誰がどの部品を組み付けたかボルトの一本も残さずチェックできるシステムとモニター画面が取り付けられています。これで自らの作業もれを防ぐことができるとともに、トレーサビリティも明確にできます。
また自走式の作業台ごとに担当者の顔写真と名前が入っており、作業後のメンテナンスを確実に実行する仕組みになっています。
見学通路からは、作業する方々の真剣なまなざしと丁寧な手さばきを見ることができ、世界から信頼されるホンダを間近で感じられました。【VFR1200】落ち着いた赤と黒が美しい配色。
☆詳しくはこちら⇒VFR1200について(Hondaホームページ)
次第に完成形へフレームを人手で運んできてよっこいしょと抱えて取り付ける・・・のではなく、ICチップで一元管理されたフレームがつるされて流れてきて、エンジンと結合。
エンジンを取り付けた後は、各作業に適した高さになるようにコンピューターで管理された自動昇降台車に乗せられ、その製品に必要な部品の供給棚とともにゆるやかに流れていきます。
部品の棚は使う順番や作業しやすい高さに配置され、台車と部品の棚が同時に流れることで、作業効率を高めているそうです。
流れを順に追うごとに、普段目にする完成車へ近づいていきます。【製造ラインを見学させていただいたCRF250X】
☆詳しくはこちら⇒CRF250Xについて(Hondaホームページ)
品質管理の真髄はここにあり②
完成車ができると、目視での細かい傷の外観検査を受け、その後実際にエンジンをかけて作動から制御、ランプの点灯まで一台ずつ実際に人が乗って丁寧にチェックされます。
また、流れるラインとは別に、ベテランの方と若手の方がペアになって1台を組み立てる「セル」と呼ばれるスペースもあり、一日の生産台数は20台ほどながらもそこではホンダの技術伝承が行われているそうです。
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【セルライン】
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【工場内の製品展示スペース】
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工場内は音がうるさく、部品やラインで込み合っているという私が抱いていた従来イメージとは全く異なり、整然とした作業スペースの中、コンベアのチェーンやレンチをサイレント型にするなどの工夫で騒音も抑えられ、ひとにやさしく品質に厳しい、「ホンダのものづくりへのこだわり」を肌で感じることができました。(熊本県企業誘致連絡協議会事務局 杉本)